京都・仁和寺「茶室・飛濤亭」【重要文化財】

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茶室・飛濤亭

造営年

1830年(文政13年)から1867年(慶応2年)※江戸末期

建築様式(造り)

入母屋造り
土庇付き

大きさ

茶室:4畳半(一間踏込地板附属)
勝手の間:2畳

屋根の造り

かや葺

重要文化財指定年月日

1937年7月29日

読み方

飛濤亭は「ひとうてい」と読みます。

飛濤亭の名前の由来

その1

腰を下ろす座席の前に小さな飛瀑(滝)と池泉(池)があり、滝流から生じる波が池泉へ飛ぶように見えることから、「飛濤亭」と命名された説。
※「濤」とは、海中に高くうねって起こるなみ。大なみのこと。

その2

ある大雨の日、光格天皇と済仁法親王(光格天皇の養子)が滝上の土橋を渡ろぅとした時、飛瀑から生じた滝水が天皇の御衣に飛びかかったことから、天皇自身が「飛濤亭」と命名された説。




飛濤亭とは?

二王門をくぐり抜けて左脇にスグ見える御殿の奥には宸殿があり、その宸殿の奥には2つの茶室があります。

これらの茶室は双方とも重要文化財の指定を受けているほどの茶室になり、それぞれ異なった特徴を持っています。

そのうちの一つが以下に述べる「飛濤亭」です。

飛濤亭の歴史

飛濤亭は寛政年間(1789年〜1801年)に建造された茶室であり、天保年間(1830年から1844年)に現在地に移建されたと伝わる。

おそらく遼廓亭が仁和寺境内に移築されることが決まった際に建造されたものと考えられます。

また、光格天皇(こうかくてんのう)自らが設計に携わったとされ、生涯、珍重したとされる茶室です。

度々、仁和寺へ行幸し、この茶席でくつろがれたらしい。

飛濤亭の建築様式(造り)・特徴

南面が屑屋葺(草葺)、軒先はこけら葺(杮葺)、妻入の間口が二間、奥行が三間半、二枚障子、貴人口、屋根破風、三角の円窓を用いる。

床板に杉目鏡天井、床前板に杉板網代組、細竹を二本宛で押さえ、壁止まりには”こぶし材”、点前畳上は蒲(ガマ科の多年草。 池や沼などに生える植物)の落天井、急勾配の化粧屋根裏、南と西の障子二枚宛附属。

ほか、外縁に待合、水屋、長炉を狭めた台所を配した古式な茶室。

飛濤亭は遼廓亭とは対照的に貴人を招くための茶室?

飛濤亭は、遼廓亭とは対照的に貴顕者(身分の高い者)が出入りしたことを物語る造りになっています。

たとえば茶室の床畳には点前畳、踏込畳、客畳、貴人畳が張られ客畳面の入口には腰障子付きの貴人口が設けられています。

壁は遼廓亭と同様に錆壁状の土壁が周囲に張られ、客畳上の屋根も同様に竹垂木・竹小舞を用いた化粧屋根裏様式の屋根になります。

また室内には貴人口の横に円窓や室内奥に洞床(ほらどこ)が設けられ、天井にはへぎ板を網代(あじろ)状に仕立て、茶室外には蹲居(つくばい)と燈籠、地面には飛び石が設けられ〜る。

御室流の華道

仁和寺では開基となる宇多天皇を流祖とした御室御所の華道を踏襲し、現今に到っても御室流を伝える。

法皇となってからも宇多天皇は文化や風流を好み、特に自然風物に触れ合うことを何よりの喜びとされたと伝わ〜る。

とりわけ中でも桜花観桜を至上至福の喜びとされ、紫宸殿前庭に植わる右近の橘・左近のを、右近の橘・左近のへと改められたほどの執着ぶりだったらしい。

法皇は境内に多くの桜を植樹され、花季になると手折った桜花の一枝を宮中へ贈り、一枝は瓶に挿されて風流をたしなまれたが、活けられた花姿を見ているうちに宇宙観を交えた悟りを感得し、人心教化のための華道なるものを見出した。これが今日まで継承される御室流 華道の起源とな〜る。

飛濤亭の特別公開と内部見学方法

この茶室・飛濤亭ならびに遼廓亭は双方とも通常時は拝観通路側に柵が設けられ、立ち入りが禁止されています。

しかし、毎年、春の京都非公開文化財特別公開や御室流華道流祖奉献全国挿花大会の時に特別一般公開されるようです。

ただし、単独での参入は不可。程度の人数を要する。(要確認💘)

飛濤亭の見学申し込み方法

1.まず5名以上が対象になります。
2.1人1000円特別拝観料金が必要になります。
3.往復はがきを用意して下記の住所(仁和寺)へ送付します。
4.仁和寺から返信が届いた後、拝観当日、念のためその返信を持参して拝観に伺います。

詳細は仁和寺公式サイトを要チェック💘

茶室 飛濤亭の場所(地図)

飛濤亭も御殿に入り、順路にしたがって進んだ先の宸殿奥(北側)の小庭の中にあります。

双方の茶室は通常時は非公開となっていますが、外観のみ観ることができます。

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