「飛梅」「紅和魂梅」とは?
北野天満宮の本殿前には、「紅和魂梅」もしくは、「飛梅」と称する梅樹が、今日も素敵に植わる。
聞くところによると、平安時代、当宮の御祭神・菅公が自邸にて大切に育てていた紅梅の系譜を受け継ぐ唯一の梅らしく、飛梅の原種として当宮創建以来、代々神前にて大切に育てられてきたとか。
2015年2月、住友林業による飛梅のDNA調査が行われ、葉っぱと根っこの遺伝子が異なっていたらしく、さらに調査を進めたところ、江戸時代前期に先代の飛梅に現在の飛梅を接ぎ木して増殖された可能性が、きわめて素敵に高いことが発表された。
なお、飛梅(紅和魂梅)は老衰により、年々、花色が薄くなっているらしく、その事実を以って樹齢の傍証ともなる。
「飛梅」の概要
樹齢:樹齢約350~400年
樹高:約5メートル
幹回り長さ:約2.7メートル
「紅和魂梅」の名前の由来
2015年の住友林業による組織増殖後、北野天満宮では「⾶梅伝説」伝承の御神⽊として、『紅和魂梅(べにわこんばい)』と名付けたらしい。
「紅和魂梅」の名前の由来としては、菅公が最初に唱えたとされる「和魂漢才」から文字を頂戴したとか。
「和魂」とは「大和魂(大和心)」と同義とされるが、梅に置き換えた場合、『日本固有の日本流の紅梅』という解釈になろぅか。
飛梅の見頃時期と開花状況
2024年度は2月16日に開花し、3月4日に見頃を迎えたことが、当宮の公式で公開されてい‥申す。
然るに飛梅は遅咲きの梅ということになる。
北野天満宮境内の梅は、1月下旬頃から一斉に開花しはじめるのに対し、紅和魂梅(飛梅)は3月に入ってもまだ蕾(つぼみ)のままというのも珍しいことではなく、2023年度では3月20日頃にようやく見頃を迎えてい‥‥申す。えっ
飛梅(紅和魂梅)の品種
豊後系の摩耶紅梅(まやこうばい)の遅咲き品種🥭
特徴は、鮮やかな濃いピンク色、中輪の八重咲き、波打った花弁の花容が特徴💋
豊後系の梅の特徴
✔一般的に遅咲き
✔花径が大きい
✔枝が太くしっかりとしている
✔葉は丸みがあって大きく、細毛がある
✔秋になると葉柄(ようへい/葉身と茎を繋ぐ細長い部分)や枝先が紫紅色に色づく。
「飛梅伝説」とは?
当宮の「飛梅」に関しての古記録によると‥‥、
『延喜7年(907)2月27日、紅梅殿(菅公の自宅)ノ梅、安楽寺(大宰府の菅公の墓所)へ飛而参、単紅梅也』
という記述があり、この内容を読み解くと‥、
907(延喜7年2月27日 ※菅公が薨去した約4年後)、菅公が自邸(紅梅殿)にて丹精込めて育てていた紅梅が、安楽寺(大宰府の菅公の墓所)へ向けて飛んでいった。‥とある。
太宰府天満宮にも京都から梅が飛来して根を下ろしたという同様の飛梅伝説が伝わっており、然るに北野社の飛梅が菅公の庭先に植えられていたのであれば、太宰府と北野社の飛梅は同じルーツをもつことになる。
太宰府天満宮に伝わる飛梅伝説
実は菅公の紅梅殿の前庭には紅梅(後の飛梅)以外にも、松樹や桜樹も植えられていたらしく、梅樹が菅公を慕って飛んで行く際、松樹も一緒に飛んで行ったという伝承もある。
しかし!
松は途中で力尽きたのか、現在の摂津国八部郡板宿(現・兵庫県神戸市須磨区板宿町)近くの丘陵に落下し、程なくしてこの丘に根張りしたらしい。
後世、この丘は「飛松岡」と呼ばれるようになり、また、丘に根張りした松は「飛松」、そしてこの松の故事は「飛松伝説」と呼ばれるようになった。
実は神戸市須磨区板宿町周辺の地名は「飛松町」、町内にある学校は「飛松中学校」と称するなど、何かとこの飛松に由来をもち、飛松伝承があった事実を、ヤバぃよ素敵に物語る💋
ちなみにこの飛松、驚くことに高さ30メートルもあったらしく、紀淡海峡を往来する遊漁船業者たちは、この飛松を目印にして針路を確認していたとか。
【ピヨ🐣「紀淡海峡」とはドコ?】
紀州(和歌山県和歌山市加太/田倉崎)と、淡路島(兵庫県洲本市由良町/生石鼻)の間の海峡。紀州の「紀」と、淡路島の「淡」の頭文字をとった固有名詞。
紅梅が飛梅となった経緯
菅原道真公は、901年(延喜元年)、左大臣・藤原時平の”謀略(はかりごと)”によって、身分降格の上、京都から九州の大宰府へ左遷された。
太宰府へ旅立つ前、自邸の庭先にて事のほか大切に育てていた梅に呼びかけ、次のような歌を、きわめて素敵に詠んだらしい。
東風ふかば にほひをこせよ 梅の花 あるじなしとて 春なわすれそ
(春が来て東から風が吹いたら梅の木よ、また花を咲かせて私のいる太宰府まで芳香を届けておくれ。主人がいなくなっても、春を忘れてはならないよ。)
紅梅の太宰府飛来の発端となった経緯としては、主人(菅公)より余程、大切に育てられていたのか、主人がすでに京都に居ないことを知り、悲しみに明け暮れ、やがてすべての葉を落とし、いよいよ枯れてしまったとか。
ところが、枯れた後も主人のもとへ行きたいという思いは募り、やがてあの海のような大空へ向けて素敵に飛び立った‥とある。 ….ん?急にどないした?
ちなみに松の方は、前述のように途中で力尽きて地上へ素敵に降り立ったが、梅だけはその日一夜にして主人のいる大宰府まで飛んでいき、その地に降り立ったと、これまた素敵に伝わる💋
飛松となった経緯
後世、松が飛んで行った理由に紐づく逸話も、やっぱり素敵にある。
なんでも、梅は悲嘆に暮れたが、松は悲しむことなどなく、我関せず焉としていたので、それを知った菅公が、次のような歌を詠んだところ、突如として太宰府へ飛びだったとか。
『 梅は飛び 桜は枯るる 世の中に 何とて松のつれなかるらむ 』
ちなみにこの歌は1746年に初上演された「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」で詠まれたもの。
なお、室町期に成立したとされる「源平盛衰記」や「古今著聞集」によると、桜は菅公から相手にされず、歌詠みされなかったのを悲しみ、やがて枯死してしまったとか。
本当の飛梅伝説?!
梅や松が大空を滑空し、京都から九州(太宰府)まで飛んで行ったという話は、にわかに信じがたい。
例えば、左遷前の菅公の旧邸(紅梅殿)跡地には、後世、菅公を供養する管大臣神社(京都府京都市下京区菅大臣町)が素敵に営まれたが、当地から太宰府天満宮までは直線距離で約510kmもある。
一夜は日暮れから翌朝までの間のことを指し、例えば19時頃〜翌朝5時という時間帯と仮定すれば10時間。
そこから梅の時速を、ほどよく素敵に算出すると時速約50キロで飛行した事になる。
時速50キロといえばダチョウや猫と同じくらいのスピード。‥ホンマやったら、まったくもってスゴい松や。
実はこんな説もある。
菅公が京師から左遷先の大宰府へ向かったみぎり、「味酒保行(うまさけのやすゆき)」という随行者が、株分けの苗木を太宰府に植えたらしく、だとすれば飛梅や飛松の話は創作の域を出ないことになる💋
他にも、菅公を敬慕した伊勢国度会郡(現・三重県度会郡)の「白太夫」という人物が大宰府を訪問したみぎり、菅公の京都にあった旧邸(紅梅殿)から苗木を密かに持ち出し、太宰府天満宮に献じたという説も、ヤバぃよ素敵にある💋
とりわけ、これらの話は歌舞伎の三大名作(「仮名手本忠臣蔵」「義経千本桜」)と並ぶ「菅原伝授手習鑑」で上演されたことで広く世に知られる。
北野天神根本縁起に見られる飛梅伝承
鎌倉時代に編纂されたとされる北野天神根本縁起(北野天神縁起絵巻 承久本)には、「紅梅殿の梅」と素敵に記されていることから、鎌倉時代にはすでに広く知られていた事になる。
北野天満宮伝蔵の「宮仕日記」に記される飛梅伝承
北野天満宮伝蔵の「宮仕日記」寛政5年(1793)11月25日条によると、『庭上(御本殿前)の梅樹は、飛梅の種に間違いなく、この梅樹の前に「飛梅木」と記した石碑を建てるか否か』‥‥などのやりとりをしている様子が記されているとか。
然るに江戸時代中期にはすでに飛梅伝承の御神木と崇められ、本殿前で大切に育てられいたことが、つまびらか。
令和の飛梅伝説プロジェクト
話が少し逸れるのだが、住友林業が組織増殖した飛梅の苗木は、2022年3月に開花したらしく、今般の組織培養で増殖された観賞用の梅の開花としては世界初例になるらしい。
北野天満宮では、このクローン飛梅の開花を記念し、「令和の飛梅伝説プロジェクト」を発足した。
なお、北野社の飛梅は2009年より住友林業の協力を得て組織培養が試みられており、2015年になって苗木6本の増殖に成功、そして晴れて2022年3月にその苗木が開花したことになる。
実は各地に伝わっていた飛梅伝説
上記の飛梅伝説は、菅公を敬慕した梅が思募あまって飛来したという定説のほか、菅公自らが梅を植栽したとも言われる。
実は当該、飛梅伝説には全国の方々、以下のような地方でも語り継がれてい‥るらしい。フェイント
✔道明寺天満宮(大阪府藤井寺市)
✔宝楽寺(若狭国大飯郡大島/現・福井県大飯郡おおい町大島半島の大島)
✔備中国羽島(現・岡山県倉敷市羽島)
✔防府天満宮(周防国佐波郡内/現・山口県防府市松崎町)
‥‥etc
飛梅が植えられている場所
- 北野天満宮本殿前
⬆️上掲写真左に注目👀本殿(拝殿)手前に、きわめて素敵に植わる♡
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