京都・金閣寺(鹿苑寺)「不動堂」
創建年
- 不明
- 推定:1220年以前(1225年/嘉永元)?
再建年
- 1573年から1592年(天正年間)
建築様式(造り)
- 入母屋造り
- 妻入り
- 階隠付き
屋根の造り
- 本瓦葺
御本尊
- 石造不動明王
発願者
- 西園寺公経※創建当初
- 宇喜多秀家※再建時
- 弘法大師・空海(石造不動明王)
「不動堂」の読み方
「不動堂」は「ふどうどう」と読みます。
金閣寺・不動堂の歴史・由来
同じく金閣寺の境内にある「夕佳亭」から歩いて「北門」を出たところに「不動堂」があります。
不動堂の名前の由来は、「不動明王」をお祀りしているお堂なので「不動堂」と称します。
御本尊は「石造不動明王像」ですが、通常は一般には公開されていません。
金閣寺・不動堂の創建年「いつできた?」
金閣寺「不動堂」は1225年(嘉永元)に建立されたと云われております。
つまり、金閣寺が西園寺家の所有だったころのお堂です。
当初は西園寺護摩堂という呼称であり、後に足利義満公の別荘になった時に「不動堂」へ名前があらためられています。
しかし、その後に10年間洛中を中心に続いた応仁の乱・1467年(応仁元年)~1477年(文明9年)によって焼失してしまいます。
しかしその後の1573年から1592年(天正年間)に、安土桃山時代に「宇喜多秀家(うきたひでいえ)」によって再建されています。
1962年(昭和37年)に修繕が行われていますが、現在見ることのできる不動堂の姿は上述の宇喜多秀家の再建によるものです。
金閣寺・不動堂のご本尊「石造不動明王(石不動明王立像)」
金閣寺不動堂のご本尊は「石造不動明王」です。
「石造不動明王」は、大師・空海自身の手によって彫られたと伝わっています。
大師・空海は「遣唐使」の一員として渡海し「約20年間の留学生」と言う名目で中国・唐へ渡っています。
しかしたった2年の修行で密教の極意を極め、密教における次の代のお役目にまで選出されて帰国することになります。まさに前代未聞となる大快挙を成し遂げています。
帰国の際に密教の極意を多数持ち帰ったと伝わっており、そのうちの1つに「密教図像」と言われる「仏像の絵図面」を持ち帰ったと伝わっています。
この絵図面とは、早い話が仏像制作の設計図であり、この絵図面をもとに彫られたのが上述の「石造不動明王」と云われております。
ただし帰国後、大師は大変な人気者であり、多忙の毎日を送っていましたので、大師が自らの手で彫ったのかは謎とされております。
しかし、下絵(設計)は大師・空海の手によるものと考えられ、実際に造立したのは石工だと言う見方もあります。
ご本尊・石不動明王立像のご利益・効果
不動堂のご本尊である「石不動明王」は上半身の病気の平癒にご利益があると云われています。
特に「眼」が良くなると言う評判があり、目の不自由な参拝者も数多く訪れるとのことです。
宇喜多秀家と金閣寺・不動堂
宇喜多秀家(豊臣秀家)は、戦国の謀将・宇喜多直家の嫡子であり、中納言として豊臣政権を支えた五大老の1人です。
正式には豊臣の姓ですが、豊臣秀吉とは直接的な血縁関係はありません。
父親である宇喜多直家の死後、秀吉の養子(甥っ子)として迎えられ、秀吉子飼いの武将になります。
宇喜多秀家は、豊臣家に貢献を果たしますが、秀吉の没後、流罪となり八丈島で生涯を終えた人物です。
そして、何をかくそう秀家は「土木築城技術に優れた家臣」を幾人も抱えていたことでも有名でした。
そんな秀家の手によって、この不動堂も見事に再建されています。
安土桃山時代に再建された比較的、歴史が浅いお堂ですが、金閣寺に現存する最古の建造物と云われております。
京都・金閣寺「不動堂」の行事(イベント)
京都・金閣寺「不動堂・特別開扉(特別一般公開)」の日程・開始時間・所要時間・拝観料金
実は、金閣寺不動堂の石造不動明王は、絶対秘仏の部類に入るものであり1年のうちにたった2回しか直接、お顔を拝見して拝むことができません。
そのたった2回の特別開扉(特別公開)の日が以下の日になります。
日程
- 2月3日(節分)
- 8月16日(大文字五山送り火の日)
なお、上記の両日とも、まず法要が営まれ、法要後に開扉され参拝することができます。
2月3日「節分の日」に特別一般公開される理由
節分の日とは古来から「鬼は~外っ!福は~内ぃっ!」などと絶叫に近い「雄叫び」を上げながら「オるぁっ!」などと必死に豆を投げつけたり、ドテッ腹の胃の中へ豆ツブをしこたま収めたりします。
節分の日に豆を撒く理由は、邪気を祓うためです。これは節分の日がちょうど季節の変わり目と言うことで邪気が蔓延しやすい時期であることに由来するものです。
また節分とは別名で「年越し」とも呼ばれます。
これは旧暦では立春の翌日が「正月(元旦)」であったからです。
つまり立春の日が現在の大晦日ということになります。
大晦日を含めた6月と12月の月末には日本全国の神社などで「大祓(おおはらい)」の神事が執り行われます。
つまりこの大祓の神事の一環として豆まきが行われるたものと捉えることができます。
尚、節分は立春の前日にあたり、太陽が黄経315度に来る時を表します。
そして太陽暦による節を分ける日でもあります。
節分は、かつて1年の春夏秋冬の分かれ目の各月にそれぞれ1回あり、合計で4回存在しました。
しかし現在までに語り継がれている節分は「春の節分」のみになります。
8月16日「大文字五山送り火の日」に特別公開される理由
「大文字五山送り火の日」とは、京都に伝わる伝統的な行事です。
京都では古来、8月13日になると市内の至る箇所で鐘が突かれます。
鐘と突くことによって「おしょうらい」を行うからです。
「おしょうらい」とは森羅万象の中に生ける「精霊」をお迎えする儀式です。
次いで8月16日の夜には、精霊がお還りになられるので「大文字五山送り火」をもってお見送りします。
時間(開始時間)
※法要は2回に分けて執り行われます。
- 9時~10時45分
- 12時~16時30分
拝観料金
※この料金は金閣寺の拝観料金とは別に必要な「不動堂の堂内の拝観料金」となります。
- 大人:200円
- 小中学生:100円
京都・金閣寺「不動堂・大護摩供奉修」
金閣寺の不動堂では、例年11月28日に大きな法要が営まれます。
その法要と言うのが「大護摩供奉修」であり、読み方を「おおごまくぼうしゅう」と読みます。
不動堂で執り行われる「大護摩供奉修」とは、簡単に言えば「護摩木」を燃やして邪気や悪い雑念を祓う儀式です。
この日はお昼過ぎになると、山伏の格好をした男たちが行列をなして境内へ入ってきます。
そして、この山伏たちこそ大護摩供奉修の主役であり、山伏の読経(般若心経)によって大護摩供奉修が開始されるのです。
大護摩と聞けば「護摩焚き」を連想される方も多いと思われますが、いきなり護摩焚きは行われません。
まず、境内の「荼枳尼天」の前で山伏による読経が執り行われます。
そして不動堂の前へ移動して、今度は「法弓の儀(ほうきゅうのぎ)」と「法剣の儀(ほうけんのぎ)」「法斧の儀(ほうふのぎ)」と言った「祓いの行事」が行われます。
「法剣の儀」ではナイフ(剣)を取り出してとりあえず振りまくります。ふぉ~っ、..アチョ~!アタぁ!
「法弓の儀」では、弓矢を用いて護摩壇(斎場)の東西南北の方角に矢を放ちます。..アロぅぉ~!アロっ!
「法斧の儀」では、護摩壇を造るための「木」を「斧」で割ります。…。…。
しかし実際に斧で割るワケではなく、割る仕草をします。(昔は本当に割っていたのかもしれません)
これらの儀式を行うことによって「場」の四方の清浄化を行い、邪気を祓い邪気を寄せ付けないようにします。
そして、周囲の邪気を完全に祓ったところで護摩壇を用いて「斎場」を形成し、ようやく火が点火されます。
その後、祈祷が行われ、ここで参拝者の願いが書とめられた護摩木なども一緒に燃やして行き、参拝者の願いを成就へと誘います。
京都・金閣寺「不動堂・大護摩供奉修」の日程・開始時間・拝観料金
「不動堂・大護摩供奉修」の日程
- 例年、11月28日
「不動堂・大護摩供奉修」の開始時間
- 13時~
「不動堂・大護摩供奉修」の料金
- 無料
金閣寺・不動堂の拝観料金と御朱印の種類
金閣寺・不動堂は通常は「無料」で拝観(参拝)できます。
他にも、世界遺産の観光名所・金閣寺の一端を担うお堂と言うこともあり、「世界中の言語別のおみくじの自販機」が並んでいます。
また「祈願入りのロウソク」は「1本50円」で、少し珍しい「ストレス封じなどのロウソク」も見られます。
金閣寺の御朱印は不動堂前の御朱印所にて授ることができます。
金閣寺の不動堂で購入(授与)できる御朱印の種類は以下↓の2種類です。
「不動堂の”石不動尊“と墨書きで大きく書かれた御朱印」
「”北山殿“と大きく書かれた御朱印」※かつて授与されていた御朱印です。(現在は拝受できません)
- 御朱印の値段:300円
京都・金閣寺「不動堂」へのお問い合わせ先「住所・電話番号・営業時間」
- 住所:京都市北区金閣寺町1
- 電話番号: 075-461-0013
- 営業時間:9時~17時
- 拝観料金
・一般:400円
・小・中学生:300円
不動堂のもつ1つの隠された秘仏
実はこの不動堂にはもう1尊、秘仏とも言える仏像があります。
その仏像は上述の石製の不動明王像とは打って変わり、木造の不動明王像になります。
金閣寺・不動堂の木造不動明王像に関しての詳細は当サイトの以下↓の別ページにてご紹介しております。
金閣寺・不動堂の場所(地図)
金閣寺不動堂は、夕佳庭の少し進んだ先、金閣寺の出口付近にあります。
金閣寺の境内地図と観光スポット一覧
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