京都・金閣寺(鹿苑寺)「方丈(客殿)」【重要文化財】
創建年
- 1602年(慶長7年/安土桃山時代)
再建年
- 1678年(延宝6年/江戸時代後期)
建築造り
- 入母屋造
- 切妻造
- 寄棟造
屋根の造り
- 桟瓦葺
敷地面積
- 200m2(約60坪)
ご本尊
- 聖観音菩薩坐像
- 梵天(脇侍)
- 帝釈天(脇侍)
その他の仏像
- 夢窓国師像
- 足利義満像
- 文雅慶彦像
発願者
- 西笑承兌
「金閣寺・方丈」の読み方
「方丈」は「ほうじょう」と読みます。
「金閣寺・方丈」とは?
「方丈」とは、禅寺で住職らが住む所であり、俗に言うところの「本坊(ほんぼう)」にあたります。
別名で「客殿」とも呼ばれ、客間としても用いられます。
「金閣寺・方丈」の歴史・由来
1602年(慶長7年)に、当時鹿苑寺の人事をつかさどる僧録であった「西笑承兌(さいしょうじょうたい)」によって建てられました。
1678年(延宝6年)には、後水尾天皇(ごみずのおてんのう)の寄進により建て替えが行われています。
その後も現在に至るまで約4回改修が行われました。
2005年(平成17年)には2年の歳月をかけて、全面解体修理が行われています。
正面などに描かれた方丈の大きな特徴ともいえる「杉戸絵」も新しく描かれています。
現在の方丈は200平方メートルの広さを持っています。
「金閣寺・方丈」の特徴
建築様式は、寺社によく見られる「入母屋造(いりもやづくり)」で、寄棟造と切妻造の要素を合わせ持っています。
屋根には波型の桟瓦を使用した桟瓦葺(さんかわらぶき)が用いられています。
また屋根には阿吽の形相をした鬼瓦も見られます。
御本尊として、聖観世音菩薩坐像が祀られています。
この聖観世音菩薩は、体のわりに、頭が大きいのが特徴です。
「金閣寺・方丈」の美術品
方丈の襖には、狩野派である狩野寿石(かのうじゅせき)の水墨画が描かれています。
「仙人高士」「香山九老」「山水人物」「葦雁」「雪山山水」の絵が見られますが、特に「仙人高士」は20面にもなる作品になっています。
また、2007年(平成19年)の改修の際、杉戸には画家の石踊達哉と森田りえ子の絵が奉納されています。
金閣寺・方丈の庭園「枯山水の庭」【特別名勝・特別史跡】
特別史跡指定年月日
- 1925年(大正14年)10月8日
特別指定年月日
- 1956年(昭和31年)7月19日
金閣寺・方丈「枯山水の庭」の歴史・由来
方丈には「枯山水の庭」があります。
枯山水の読み方は「かれさんすい」と読みます。
この庭園は、室町幕府に仕えた「相阿弥(そうあみ)」の作だと言われています。
石が巧みに配置されており、唐門前には御水尾天皇が植えられた「胡蝶詫助(こちょうわびすけ)」が生えています。
【豆知識】屋根の造りの「桟瓦葺」って何?
「瓦葺き」は戦国期に考案され、安土桃山時代から本格的に建造物に用いられた、屋根を彩る1つの建築手法です。
特に、安土桃山文化を象徴でもある、織田信長公の「安土城」を代表とした城建築に多く用いられており、本来の目的は延焼を防ぐ「防火の目的」で取り入れられました。
ちなみに、瓦葺には主に2種類の葺き方があります。
その2種類とは「本瓦葺」と「桟瓦葺」の2つです。
「桟瓦葺」とは、「さんかわらぶき」と読みます。
現代の家宅において、日常的に見かけることのできる屋根には「桟瓦葺」がほとんどです。
本瓦葺とは?
「本瓦葺」は、まず粘土で「丸い形の瓦(鬼瓦付き)」と「反り返った瓦」を作ります。
これらの瓦を炉に焼べて固めます。
その後、「反り返った瓦」の方を屋根の上で2枚並べます。
並べると当然、2枚の瓦の間には隙間ができます。
しかしこれでは、隙間から雨漏れすることになります。
そこで、その隙間からの雨漏れを防ぐ意味合いで「丸い形の瓦(鬼瓦付き)」を、その隙間の上にカブせるように乗せます。
「本瓦葺」の最大の欠点は、屋根の重量が増すので、地震の際には、家屋の耐性が低くなり、倒壊率が上がることです。
桟瓦葺とは?
いっぽう「桟瓦葺」とは、本瓦葺を欠点を補う形で考案された新たな本瓦葺の手法となります。
本瓦葺の最大の欠点であった「重量」と「コスト(お金・時間)」を軽減するために考案されました。
「桟瓦葺」は本瓦葺とは違い1枚の瓦同士を直接、組み合わすことができます。
これは、あらかじめ瓦自体の形状を「波型にして製作」することで「丸型の瓦」の必要性を無くし、その分、軽量化することができます。
桟瓦葺は、1674年の江戸時代後期に近江国の瓦師・西村平兵衛によって考案された建築手法だと云われております。
この手法が生み出されたことにより、加速的に民家層にまで瓦葺きが普及して行くことになります。
ちなみに、現代の家宅の屋根で見かけることの多い葺き方は「引掛け桟瓦葺」と言う手法です。
この手法は桟瓦葺の弱点であった「ズレ落ちる」のを防ぐために、瓦同士を引っ掛け合わせて固定するといった手法になります。ウフ
金閣寺・方丈の場所(地図)
金閣寺の方丈は総門の奥、庫裡(くり)の奥に位置します。方丈へは拝観受付窓口を通過しないと行くことできません。ただ、正確には庫裡の内部には廊下があり、その廊下は庫裡に連絡しています。
金閣寺の境内地図と観光スポット一覧
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