方丈の「杉戸絵」とは?
方丈の特別拝観の時に、ぜひ見て頂きたいのが、杉戸絵(すぎとえ)です。
杉戸とは、杉材を使用して作られた板戸のことで、縁と部屋との仕切りとして使われます。
杉の一枚板で造られた板戸には、絵が描かれており、この絵を「杉戸絵」と呼称します。
方丈の杉戸絵は通常は一般非公開!だから貴重!
金閣寺の方丈の中は普段は非公開となっています。
境内を順路にそって歩いていくと、陸舟の松の奥に見えるのが方丈ですが、中まではよく見ることができないのです。
見ることができないと思うと、どんなものか見てみたくてウズウズしてきませんか?
そんな方におすすめなのが方丈の特別拝観です。
非公開の方丈を期間限定で特別に公開しているのです。
金閣寺・方丈の杉戸絵
金閣寺の方丈にある杉戸は、2007年(
現在の杉戸絵は、日本画家・「石踊達哉(いしおどりたつや)」と、同じく日本画家の「森田りえ子(もりたりえこ)」によって描かれたものです。
なんと、この杉戸には樹齢700~800年にもなる秋田杉が使用されています。
この杉戸8面ずつに、石踊氏と森田氏の絵が描かれているのです。
石踊達哉の杉戸絵には、「双樹紅白梅」「遠山桜」、そして初秋と晩秋の2つの「秋草」が描かれています。
森田りえ子の杉戸絵には、「春‐牡丹」「夏‐花菖蒲」「秋‐菊」「冬‐椿」が描かれています。
森田氏の杉戸絵は、森田りえ子オフィシャルサイトのギャラリーのページでも見ることが出来ますが、本物は比べ物にならないほど迫力のある絵です。
公式サイトは予習程度に見ておきましょう。
KAWAII~♥女性本来の姿を描く「森田りえ子」
森田りえ子は、京都市立芸術大学卒で京都にゆかりの深い日本画家です。
森田氏は女子高生などの現代の日本女性を絵にしたためる《KAWAII》シリーズを展開し、日本画に新しい息吹をもたらしています。
女性の絵が人気の森田氏ですが、杉戸絵には季節の花が描かれました。
彼女が描く花々には、ものすごい生命力が感じられます。
森田氏は、修行時代、デッサン力をつけるために、一日中花を描き続けていたようです。
しかも一つの花のシーズン中、ずっとその花を描くのです。
つぼみから、花が散り、実がなるまで、一つの花を通して描き続けたからこそ、森田氏の描く花は写真のような「一瞬」ではなく、「一生」が感じられるのでしょう。
方丈の杉戸絵の作成期間は、石踊氏と同じ1年ですが、森田氏はそのうち半年を構図に費やしたそうです。
初めは肌色の杉板が、数百年後には琥珀色に変わっていくといいます。
杉の特徴や、数百年以上も生きた大木の木目のことも考えて、杉戸絵は描かれました。
平成の琳派、石踊達哉
石踊達哉は、瀬戸内寂聴作の現代語訳「源氏物語」の装丁画を手掛けたことで有名です。
その作風は江戸時代の尾形光琳の絵に似ており、そんなことから石踊氏は平成の「琳派(りんは)」とも呼ばれています。
琳派とは、俵屋宗達や尾形光琳などに代表され、大和絵の技法をとりいれた作風が特徴です。
石踊氏の描く絵は計算された「にじみ」や「ぼかし」が美しく、見る人の心を躍動させます。
方丈の杉戸絵の制作には、約1年の期間を費やしたとそうです。
樹齢800年ほどの杉ですから、失敗は許されません。
まして、330年続いた杉戸の絵を新しく描き直すのですから、そのプレッシャーは相当なものであったことでしょう。
作業は朝5時から午後9時まで、ほとんどの休みなく行われたそうです。
琳派のイメージとして、金箔でできた背景が思い浮かびますが、方丈の杉戸絵に金箔は押されていません。
杉の木目を活かすために、「砂子まき」という金銀の粉をふりまく技法が使われているのです。
「金閣寺・杉戸絵」の特別拝観の料金と期間
杉戸絵の予習が終わったので、さっそく方丈を見に行きましょう!
…と、言いたいところですが、冒頭でも申し上げた通り、方丈は非公開となっています。
ただし期間限定ですが、特別拝観が行われることがあります。
それをねらって金閣寺へ行きましょう。
しかし残念なことに、方丈の特別拝観の先の予定までは分かっていません。
以下は最近の特別拝観が行われた時期です。
*2015年秋
*2014年秋
*2013春・秋
*2012年春
*2010年冬・秋
*2011年春
*2008年冬~春
およそ1年に1回は公開されているようです。
特別拝観は、開催されれば、2カ月程度続きます。
季節ごとに、相国寺派の本山である、相国寺の公式ホームページを確認してみましょう。
特別拝観中も、平日であればさほど方丈は混んでいないため、ゆっくりと杉戸絵や襖、庭の鑑賞ができます。
ちなみに、拝観志納料は、方丈だけで高校生以上は1000円です。
小中学生は800円ですが、保護者の同伴が必要になります。
金閣寺の境内地図と観光スポット一覧
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